中村計著『甲子園が割れた日』読了
中村計さん著『甲子園が割れた日-松井秀喜5連続敬遠の真実』を読み終えた。
1日ちょっとで、一気に読むことができた。
1992年の夏の甲子園、星陵vs明徳義塾をめぐるノンフィクションだ。この試合、私は実際に甲子園で見ていた。このとき大学生だった私は、夏休みの忙しいバイトの合間の休日に、バイト仲間と、たまたまもらった招待券を使っての観戦だった。場所は、バックネット。それゆえに、この件には興味があり、書店に並んでいたこの文庫にすぐ手が伸びた。
びっくりしたというのが最初の感想だ。5連続敬遠に関しては、それは話題にはなるだろうと思ったが、これほどの大騒ぎになっていたとは知らなかった。確か、次の日からまたバイトで、朝から晩まで忙しかった。そのため、テレビも新聞もほとんど見ていなかった。だから、世間の騒ぎようは知らなかったのだ。球場での観戦だったので、中継の解説やアナウンサーの発言、試合後の監督、主将のインタビューを聞くこともなかったことも影響していると思う。
その上、観戦の本当の目的は、次の天理戦だった。地元校の応援のためだったのだ。そのせいもあって、試合内容も覚えていたようで、覚えていなかった。敬遠では捕手は立ち上がっていたと記憶していたが、そうではなかった。人間の記憶というものはあいまいだ。
私は、5連続敬遠に関しては、否定派ではない。このときの松井選手の「怪物」という前評判はかなりのものだったと思う。でも、星陵はそれだけだった印象が残っている。松井選手だけ打たれなければ、何とかなるというのは、おおよそ考え付くことではないだろうか。そのための敬遠というのは、ありと思っていた。だからこそ、これほどの騒ぎになるとは思っていなかったのだ。駒田選手は、奈良県大会ではあるが、満塁で敬遠されたという。その話を聞いていたというのも影響しているのかもしれない。もし、この試合、満塁で松井選手に打順が回ってきていたらどうなったのだろうか。最小の1点献上というということで、敬遠しただろうか。それとも勝負しただろうか。この試合の結果は、3-2で明徳義塾の勝ちだった。1点差のしびれる展開だった。それゆえ、満塁で松井選手なら、1点献上というわけには行かなかったはずだ。その状況を作らせなかった明徳義塾の勝ちということなのだろう。
ニュース映像などを見ると、明徳義塾の先発・河野選手は、ケガをしたエースの代役と言われているが、実際はそうではなかったらしい。そんな点を見ても当時の報道がいかにいい加減だったかがわかる。これは、今後も注意しておかなくてはいけないことだと思う。メディアで流れていることを疑うという姿勢を忘れてはいけないということを。
この試合の影響か、アンチ巨人の私が、松井選手だけは、好きな選手であった。松井選手のスポーツタオルも買ったこともある。
このノンフィクションが、映像化されるといいのになぁと思っている。
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