その他の作家

2010年8月 7日 (土)

中村計著『甲子園が割れた日』読了

 中村計さん著『甲子園が割れた日-松井秀喜5連続敬遠の真実』を読み終えた。

 1日ちょっとで、一気に読むことができた。

 1992年の夏の甲子園、星陵vs明徳義塾をめぐるノンフィクションだ。この試合、私は実際に甲子園で見ていた。このとき大学生だった私は、夏休みの忙しいバイトの合間の休日に、バイト仲間と、たまたまもらった招待券を使っての観戦だった。場所は、バックネット。それゆえに、この件には興味があり、書店に並んでいたこの文庫にすぐ手が伸びた。

 びっくりしたというのが最初の感想だ。5連続敬遠に関しては、それは話題にはなるだろうと思ったが、これほどの大騒ぎになっていたとは知らなかった。確か、次の日からまたバイトで、朝から晩まで忙しかった。そのため、テレビも新聞もほとんど見ていなかった。だから、世間の騒ぎようは知らなかったのだ。球場での観戦だったので、中継の解説やアナウンサーの発言、試合後の監督、主将のインタビューを聞くこともなかったことも影響していると思う。

 その上、観戦の本当の目的は、次の天理戦だった。地元校の応援のためだったのだ。そのせいもあって、試合内容も覚えていたようで、覚えていなかった。敬遠では捕手は立ち上がっていたと記憶していたが、そうではなかった。人間の記憶というものはあいまいだ。

 私は、5連続敬遠に関しては、否定派ではない。このときの松井選手の「怪物」という前評判はかなりのものだったと思う。でも、星陵はそれだけだった印象が残っている。松井選手だけ打たれなければ、何とかなるというのは、おおよそ考え付くことではないだろうか。そのための敬遠というのは、ありと思っていた。だからこそ、これほどの騒ぎになるとは思っていなかったのだ。駒田選手は、奈良県大会ではあるが、満塁で敬遠されたという。その話を聞いていたというのも影響しているのかもしれない。もし、この試合、満塁で松井選手に打順が回ってきていたらどうなったのだろうか。最小の1点献上というということで、敬遠しただろうか。それとも勝負しただろうか。この試合の結果は、3-2で明徳義塾の勝ちだった。1点差のしびれる展開だった。それゆえ、満塁で松井選手なら、1点献上というわけには行かなかったはずだ。その状況を作らせなかった明徳義塾の勝ちということなのだろう。

 ニュース映像などを見ると、明徳義塾の先発・河野選手は、ケガをしたエースの代役と言われているが、実際はそうではなかったらしい。そんな点を見ても当時の報道がいかにいい加減だったかがわかる。これは、今後も注意しておかなくてはいけないことだと思う。メディアで流れていることを疑うという姿勢を忘れてはいけないということを。

 この試合の影響か、アンチ巨人の私が、松井選手だけは、好きな選手であった。松井選手のスポーツタオルも買ったこともある。

 このノンフィクションが、映像化されるといいのになぁと思っている。

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2009年10月20日 (火)

『官僚たちの夏』

 城山三郎著『官僚たちの夏』を読み終えた。

 先日までTBS系で放送されていたドラマの原作である。が、城山さんが御存命であれば、お許しになっただろうかと思うほど、ドラマと原作が違う。官僚に対するスタンスも違いすぎるように思った。

 ドラマは、高度成長期の官僚を賞賛すらするようなムードで描かれていたが、原作ではそういうところがほとんどない。登場人物のキャラクターもかなり違う。主人公の風越は、ドラマではカッコよすぎるし、ライバルの玉木にいたっては小説では存在感がほとんどない。

 高橋克典が演じていた片山もかなりキャラクターが異なる。私が原作で印象に残ったのは、その片山が出てくるシーンだ。

 片山は、風越に気に入られてないことが、よくわかっている。二人は性が合わない。片山もまた、風越に代表されるような肩怒らせた感じについて行けない。眉つり上げて、まるで通産官僚だけが天下国家を案じているといった空気に、片山は違和感を抱き続けてきた。<無定量・無際限に働け>などと平気でいえる庭野に象徴される空気も、まっぴらごめんである。海外生活の永かった片山から見れば、日本ももうそろそろそうした官僚国家的なホットな空気から足を洗うべきである。官僚だけが肩怒らせる時代ではない。それに、官僚に限らず、どんな職場でも、結局は天下国家のために役立っているはずである。

 これからはむしろ、官僚を含めた国民全体が、気楽に、のびやかに、生活をたのしみながら働く時代へ入っていくべきではないか。片山自身は、テニスも、ヨットも、ゴルフも、ブリッジも、マージャンも、どのあそびもやめる気はなかった。だれにも気がねせず、自由に遊び、自由に働きたい。天下国家をとるより、のびやかさをとりたい-。

 小説もドラマもどちらにも言えることだが、物語が長い期間を舞台にしているため、話が散漫になっているというか、エピソードを盛り込みすぎで深さが感じられないと感じた。ドラマにいたっては、出演人が豪華だっただけにもったいない感じがした。

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2009年6月 2日 (火)

5月の読書状況

読んだ本 7冊

買った本 16冊

横山信義さんの『鋼鉄の海嘯』シリーズがついに完結した。シリーズ7巻。これぐらいがいいだろう。あまり、長すぎてもよくない。最終巻は、少し、日本側に有利に書かれていたように感じたが、いつもは日本側に厳しすぎるくらいなので、ご愛嬌といったところだろうか。いずれにせよ、非常に現実的だし、兵器図や仕様で行数を稼いだりといったことがないので、いつ読んでも安心して読める作家だ。

東乃宇宙さんの『裁判のお時間です』は、裁判傍聴をテーマにした読み物で、北尾トロさんと文章テーストは似た感じだった。マイナー出版社から出ているので、見つけられない書店もありそう。

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2009年5月 1日 (金)

4月の読書状況

読んだ本 6冊

買った本 13冊

4月も少し読書量が減った感じだ。

タイムリーだったのは仙川環さんの『感染』だ。今回の新型インフルエンザと同様、豚が感染の始まりになったという設定。医学関連の小説もなかなか硬派でおもしろい。

東野圭吾さんの『黒笑小説』『毒笑小説』も短編の笑える話ばかりでかなりおもしろかったね。

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2009年4月 1日 (水)

3月の読書状況

読んだ本 7冊

買った本 6冊

3月は、『日米機動部隊最後の戦い 空母瑞鶴』につきる。分量も多かったが、読むのに時間がかかった。というのも、「日米機動部隊最後の戦い」というサブタイトルに注意を払うべきだったと言えばそれまでなのだが、この物語は「捷一号作戦」の話だったのだ。「空母瑞鶴」に注目した私は、真珠湾攻撃からレイテ海戦までの「瑞鶴の一生」のような展開を期待していたのだが、それが完全に外れていたのに気落ちした部分もあり、進みが遅かった。

私自身は「珊瑚海海戦」が太平洋戦争での大きなポイントとなったと考えているので、その辺が詳しく書いていると思い込んで読み始めただけに、ショックが大きかった。もっと確認すべきと反省した。

阪神の前監督、岡田さんの『頑固力』を読んだが、なかなかよかった。プロ野球の監督経験者や元選手が書いている書籍を何冊か読んだが、その中では一番よかった。いい監督だったと思う。

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2009年3月 1日 (日)

2月の読書状況

読んだ本 8冊

買った本 10冊

今月は『日本沈没』月間とでも言おうか。檜山良昭さんの『大逆転 日本経済沈没を救え!』も含めて、5冊読んだ。上下巻は2冊カウント。

『日本沈没』はSF小説として注目を浴び、2度映画化、1度連続TVドラマ化されたが、実際原作を読んでみると、SFというよりは、政治小説の色合いの法が濃いように思った。その部分は、映像化の際にはけっこうカットされていたように思う。「日本列島の沈没」というスペクタクルが中心なので、どうしてもその部分の映像化に注目がいってしまうので、仕方がないんだろうが、残念だなぁ。

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2009年2月 1日 (日)

1月の読書状況

読んだ本 12冊

買った本 9冊

けっこう読めた。出張の移動中に読み終わったのが多いけどね。

海堂尊さんの作品がやっぱりおもしろいね。映画化されている『ジェネラル・ルージュの凱旋』は特によかった。

折原一さんの作品も2冊読んだが、『叔父殺人事件 グッドバイ』は、折原さんが得意とする叙述トリックの作品で、他の作品も読んでいるが、その中でも上位に入るんじゃないだろうか。

他には、北尾トロさん、島田裕巳さんの作品も読んでよかったね。

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2008年4月24日 (木)

今日、購入の書籍

文庫

 高嶋哲夫著『虚構金融』(文藝春秋)

 池宮彰一郎著『事変 リットン報告書ヲ奪取セヨ』(新潮社)

 二階堂黎人著『クロへの長い道』(講談社)

 姉小路祐著『非法弁護士』(光文社)

 姉小路祐著『特捜弁護士』(光文社)

 姉小路祐著『人間消失 非法弁護士』(光文社)

以上、ブックオフ難波店

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2008年4月17日 (木)

今日、購入の書籍

文庫

 高任和夫著『偽装報告』(光文社)

 ハセベバクシンオー著『鑑識・米沢の事件簿~幻の女房~』(宝島社)

新書

 田中光二著『超日米大戦(1)』(学研)

雑誌

 『鉄道 DATA FILE(215)』(DeAGOSTINI)

以上、くまざわ書店延岡店

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2008年4月12日 (土)

今日、購入の書籍

文庫

志木沢郁著『豊臣秀長』(学研M文庫)

ムック

 [歴史群像]太平洋戦史シリーズVol.64『睦月型駆逐艦』(学研)

雑誌

 『昭和の「鉄道模型」をつくる(37)』(講談社)

以上、TSUTAYA岡富店

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