日本推理作家協会編『どたん場で大逆転』を読み終えた。
1996年版の年鑑より編纂されたものだ。講談社文庫からシリーズで出ており、これが第35弾だ。
収録された作家と作品は以下の通り。
宮部みゆき著『人質カノン』
佐野洋著『目撃者が描いた』
中嶋博行著『措置入院』
法月倫太郎著『カット・アウト』
今邑彩著『吾子の肖像』
有栖川有栖著『蝶々がはばたく』
北森鴻著『花の下にて春死なむ』
大沢在昌著『がんがらがん』
の全9編だ。
このシリーズはいろいろあって、そのたびに収録される作家が異なるので、結構作家重視で選ぶ私にとっては、どの巻でもいいというわけにはいかない。今回これを選んだのも、タイトルの『どたん場で大逆転』と折原さんが収録されていたからだ。
最後にあとがきで解説が付いていないのは残念だが、なかなか、いい作品群だと思った。
ただ、法月倫太郎さんの作品は少し、難しかった。美術に疎い私にとってはなかなか読み進めにくい作品だった。
大沢在昌さんの作品のドタバタ感、そして急展開というのもおもしろかった。ドタバタゆえ、少し読んでいる側が混乱しそうになるのも、おそらく計算だろう。
折原さんのは、得意の叙述トリックで、安定している作品だ。
今回、一番良かったなと思ったのは、今邑さんの作品。途中で、結論は分かってしまうが、謎解きとしてはいい作品だ。
中嶋さんの作品も捨てがたい。弁護士の活躍する作品というのはなかなかおもしろい。法律を駆使して悪をくじくというスタイルはいい。
その他の作品も逸品ぞろいでなかなか、おすすめのアンソロジーだ。ミステリーを読んでみようかなと迷っている人はこれからはいるといいかもしれない。
次は、安藤健二著『封印作品の闇』だ。
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